テーマパークみたいな極上のエンターテイメント『ファイナルファンタジーVII リバース』

キャラクター&ストーリーと戦闘が素晴らしかった『ファイナルファンタジーVII リバース』のレビュー。

  • GOOD
    魅力的なキャラクターとストーリー
    エンターテイメント性に溢れるイベントの数々
    アクションとコマンドが見事に融合したバトル
    快適なファストトラベル
    アレンジされた音楽
    大ボリューム
    バグがない
    3部作の2作目
  • AVERAGE
    グラフィック
  • BAD
    70点前後のミニゲーム多数
    コンプリート系トロフィー
    平凡なオープンワールドシステム
    微妙な動作の遅さ
    SIEによるゲームディスクのラベル印刷ミス

GOOD

魅力的なキャラクターとストーリー

このゲームはキャラクター&ストーリーと戦闘が大きな魅力です。
その中で一番の魅力はキャラクター&ストーリー。理由は近年の大作ゲームにはないものだから。

近年はポリコレ汚染が深刻化して、北米や西欧のゲームはキャラクターとストーリーに魅力を感じないものがほとんどです。数百億円をかけた大作でもキャラクターとストーリーは平凡になりがちです。
映画においてはディズニーの不振が象徴的です。

その反動もあって『ファイナルファンタジーVII リバース』が引き立ちます。かっこいい、かわいい、面白い、キャラクターの魅力が溢れており、そのキャラクターたちが織りなすストーリー展開も気になります。
思想の押しつけのようなものもありません。

無邪気に明るいところとシリアスなところのギャップも魅力です。終盤のメインストーリーはシリアスになります。その時に楽しかった場面や笑顔を思い出して沁み入る効果もあります。
リアルを求めすぎずコミカルでもあり、日本に古くから根付いている少年漫画のエッセンスを感じます。これは『龍が如く』シリーズも同様ですね。和ゲーならではの魅力。
言ってしまえば「古さ」「非現実的」なところを感じますが、これは非常に良いものです。ポリコレ汚染によってキャラクター&ストーリーにおける「新しさ」「現実的」はつまらなくなりがちですから。

女性キャラクターのあざとさは狙いすぎでもありますが、今の時代は逆にこれくらいで良い。個性を出せば好き嫌いが分かれて批判の声も多くなるが、それでいい。そういう声を聞き過ぎてつまらないキャラクターばかりになっていくのだから。
ゲームキャラも実在の人間も、好きと嫌いの両方が多く集まるのが最高だと思います。
私はクリエイターが本当に作りたいキャラを作っていると感じられるものが好きです。FF7リバースは最近のゲームの中で群を抜けて良いと感じました。

そしてリメイクならではの新展開も気になります。オリジナルを知っているからこそ、オリジナルと違うからこそ、楽しめる新展開。

エンターテイメント性に溢れるイベントの数々

一言で言うとテーマパークのようなゲームです。ディズニーランドみたいにアトラクションやパレードでお客さんを楽しませてくれるような。

ビーチ、テーマパーク、行く先々で発生するイベントは、本当にプレイヤーを楽しませてくれる。だから次のエリアに行くのもワクワクできる。
細かいところまで演出が凝っていてプロの仕事だと感じます。

まるで自分の人生のような「旅の体験」として心に残ります。

アクションとコマンドが見事に融合したバトル

『エルデンリング』のようなアクションと『ファイナルファンタジー7』のコマンドバトルが見事に融合したアクション。

「みやぶる」で弱点やHEATのさせ方を知り、操作キャラクターを切り替えながらATBゲージを溜めてアビリティを使う。
今作ではATBゲージを消費しない連携アクションと連携アビリティも加わり、より幅の広い戦い方ができるようになり、なにより火力を出しやすくなって爽快感も増しました。

前作も戦闘の評価は高かったですが、さらにレベルアップしてきました。洗練されているのは『リメイク』→『INTERMISSION(ユフィ編)』という下地があるからですね。
マテリアや武器スキルによるビルドも幅と深みが増しています。

アクション+コマンドの究極的な戦闘ですが、幅と深みが増した分、わからない人にとっては難しくなったとも思います。プレイする側にっても、アクションだけでもダメで、コマンドだけでもダメ、両方を使いこなす必要があり、さらにはマテリアや武器スキルのビルドも重要。
ライトユーザーも多くプレイするであろう『ファイナルファンタジー』においては、難しく感じる人も多いと思う。
でも、理解して上手く戦えるようになると楽しさが大幅に増します。

3作目はさらにレベルアップすることを期待できます。

快適なファストトラベル

オープンワールド風のシステムだからファストトラベルは重宝します。
使いやすいシステムですし、PS5なのでロードも速いです。
PS4の時はUnreal Engine製のゲームはロードが遅くなりがちでしたから、劇的に変化しましたね。

アレンジされた音楽

音楽も印象的です。
これはリメイクならではの魅力でもあり、オリジナル曲を知っているからこそ、そのアレンジでテンションが上がります。

主題歌の『No Promises To keep』も好きになり、ゲームクリア後にiTunes Storeで購入しました。

大ボリューム

ゲームのボリュームは十分です。サブ要素を8割くらいは達成してからゲームをクリアして65時間を超えていました。

プレイ時間水増しのような薄い要素もありますが、この素晴らしいキャラクターがいる世界を離れたくないですから、大ボリュームは歓迎です。

バグがない

80時間以上のゲームプレイでバグらしいバグはありませんでした。シャットダウンもなし。
この規模のAAA級で不具合を感じさせないパターンは非常に珍しいです。PS5独占であることもこの高い完成度に影響しているのでしょう。

3部作の2作目

『リメイク』の発売前は3部作であることをネガティブに考えていました。
でも『リメイク』→『リバース』をプレイした結果、3部作であることが最高に嬉しいです。

それぞれ力の入った傑作であり、見どころが多く、やり込み要素もあって満足できる内容でした。
1本で完結だと、ここまで細かく作れません。素晴らしい『ファイナルファンタジー7』のキャラクターとストーリーを丁寧に描いてくれて最高です。

終わってほしくないこの作品を約8年かけて楽しめるのも嬉しいです。
クリアしてやり込み、ストーリー考察も見て、DLCや次回作の情報にワクワクできる。まだまだ続きます。
超大作を8年かけて遊ぶ体験は唯一無二。

「3作揃ってから」は絶対にオススメしません。
まずネタバレに溢れているでしょう。私は『リメイク』も『リバース』も発売日にプレイし、情報を遮断したままクリアして最高のストーリー&キャラクターを味わえました。これはゲーム史上最高レベルのものです。
そして『リメイク』は2020年のゲーム、『リバース』は2024年のゲームですから、3作目が出るであろう2028年にプレイするには古いです。その作品毎の最新の時代にプレイするのが一番面白いでしょう。
さらに各作品のやり込み要素も多いですから、まとめてプレイするのは疲れます。

8年かけてゲームプレイや考察や新情報を楽しむ体験が唯一無二です。まとめたら唯一無二の体験が失われるどころか、多分疲れてしまいます。

3部作の3作目が楽しみすぎる今の感情も良いものです。

AVERAGE

グラフィック

グラフィックは基本的には良いです。見たかった『ファイナルファンタジー7』の世界がそこにあり、クリア時にはスクリーンショットが数百枚になりました。

しかし、粗いテクスチャが交ざっていたり、テクスチャの貼り遅れがあったり、細かい粗が目立つところもあります。真っ白なシーツの1点の赤い染みのように、美しいからこそ小さな粗が目立ちます。

私はもう30fpsのゲームはプレイしたくありませんので、60fpsのパフォーマンスモードでプレイしています。
パフォーマンスモードだと全体的にグラフィックが粗くなってくるのは仕方なしです。特にキャラクターの顔が怖くなってしまう問題があり、アップデートで改善を予告するほどです。

BAD

70点前後のミニゲーム多数

このゲームの最大の問題は、悪くはないが良くもない70点前後のミニゲームが多数あることですね。

ゲームが単調にならないように様々なミニゲームを用意してくれていますが、「ダルい」「面倒」と思ってしまうことが多々ありました。
キャラクター&ストーリーと戦闘が最高なゲームの中で、悪くはないが良くもないミニゲームには足を引っ張られた感もあります。

ミニゲーム以外にダンジョンの仕掛けも凝っていて、複数のギミックがあります。これも頑張って作っているのが伝わるのは良いのですが、浅いものを多数用意した感もあります。

数よりも質が大事だと思いました。

ちなみにカードゲームとチョコボレースはわりと好きでした。でも、これらのゲームを単品で作り直したとして購入するかと言えば購入しない。

コンプリート系トロフィー

前作はプラチナトロフィー獲得しましたが、今作はスルーしようと思いました。
「武器アビリティとスキルブックの武器アビリティ・リミット技をすべて習得する」「ジョニー・コレクションの展示品のコンプリートをジョニーに報告する」「すべてのクエストをクリアする」というコンプリート系トロフィーにミニゲームの攻略が関わるからです。
ミニゲームの攻略はできるかもしれませんが、つまらない時間を過ごすのは確定しています。無理してやる必要はありません。

ミニゲームはメインストーリーとは関りが浅いですが、やり込む気持ちを削ぐ存在にはなってしまっています。

最高の戦闘+ビルドでやり込めるようにしてほしかった。

ミニゲームと言えば『龍が如く』シリーズにも多数あります。昔の『龍が如く』ではミニゲームの攻略がトロフィーに関わりましたが、『7』『8』ではちょっと触る程度で良くなりました。これが理想ですね。

平凡なオープンワールドシステム

まずオープンワールド風のシステムになったのは素晴らしいです。旅、探索、自由度の魅力が得られて、前作よりゲームとしての魅力は大幅に増しました。

しかしながら、オープンワールドのシステムとしては10年以上前の古さを感じます。
周囲の情報が得られる塔、地域の情報が得られるライフスポット、強敵、モーグリハウスなど、マップのアイコンの場所に行ってアンロックするというありがちなシステム。同じようなことの繰り返しですから、後半は作業感も強くなってきます。

オープンワールドゲームのベースがありがちなシステムであることは当たり前でもあります。重要なのは、それ以上の味付けがあるかどうか。これは他のオープンワールドゲームでも抱えている問題です。
特にわかりやすい問題は、アイコンに向かう以外のイベントがほぼ起こらないことです。

優れているところは、敵の配置が絶妙に上手いと感じました。敵が多すぎると作業感が強いオープンワールド風のシステムにおいてはダレますし、少なすぎると退屈です。

そしてリニアとオープンワールドが交互にくるバランスも絶妙。飽きにくい仕組みになっています。

微妙な動作の遅さ

チョコボストップの看板を立てる動作だったり、ベンチで休む動作、崖やハシゴを登る時の動作など、各動作が微妙にもっさりと遅くて、ロード待ちのようなテンポの悪さを感じてしまう。
これらは「ちょっとしたこと」ですが、私のようなせっかちな人は「ちょっと気になる」と思います。

ロード待ちにおいては、PS5ですから基本的にロードは快適なのですが、バトルシミュレーターのロードの長さは気になりました。
超高速ロードに定評のあるPS5なのに、3連戦のバトルで1戦毎に長いロードを挟むのは謎です。アップデートでの改善を期待したい。

SIEによるゲームディスクのラベル印刷ミス

ゲーム内容からは外れますが、ゲームディスクのラベル印刷ミスはSIEの大失態です。


ジム・ライアン体制になってから、SIEの様々な業務がグローバル機能に担われました。その中で劣化が見られ、特にStoreの使いにくさや度々起こるミスはわかりやすい問題でした。この状況が改善されることはなく、今回のゲームディスクのラベル印刷ミスという大失態へと繋がった印象です。

90点

「GOOD」「BAD」を分析してレビューの点数をつけると90点になってしまいますが、心に沁み入るゲームとしてはゲーム史上最高なほどです。『ファイナルファンタジー7』『リメイク』でしか感じられないであろう、長年熟成されたものにしかない魅力が溢れていました。
クリア後の余韻に浸れるのも素晴らしいですし、次回作が楽しみな状態にあるのも嬉しいです。『INTERMISSION(ユフィ編)』のようなDLCはあるのかも楽しみです。

感情的には100点を超える大傑作。レビュー動画のためにゲームをプレイしている人の意見が的外れになる部分でもある。それは作業なので感情的に楽しみきれないですからね。

次回作は2028年頃になると思われます。PS5 ProやPS6にも対応するかもしれませんね。

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